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飛騨市の関係人口づくりに学ぶ。「お手伝いの仕組み」より先に「ファンクラブ」を作る理由

岐阜県飛騨市で、地域のお手伝いの仕組み「ヒダスケ」を体験し、市の担当職員から飛騨市ファンクラブとPR体制について話を聞きました。現地で見聞きしたことと、地域おこし協力隊の立場から感じたことをまとめます。

杉玉が下がる古い町家が並ぶ、飛騨古川の通りを歩く参加者たち

新潟県関川村で
地域おこし協力隊として活動しているコテツです。
地域に人が関わる仕組みづくりや、
体験型の企画に取り組んでいます。

2026年10月10日〜13日、
株式会社あるやうむが主催する
「DAOマネサミット」で、
岐阜県飛騨市を訪れました。

期間中、地域のお手伝いの仕組み
「ヒダスケ」を実際に体験し、
運営の方や市の職員の方から、
仕組みの背景を直接聞く機会がありました。

この記事では、
関係人口づくりや自治体の情報発信に
関わる方に向けて、
現地で見聞きしたことを整理します。

なお、数字や仕組みの説明は、
現地で口頭で聞いた内容を
私の記憶をもとに書いています。
正確な数値や最新の制度は、
飛騨市の公式情報もあわせて確認してください。

この記事のポイント

  • 飛騨市では、お手伝いの仕組み「ヒダスケ」より先に「ファンクラブ」を作ることが大事だと説明されていた
  • お手伝いの「商品」だけ作っても、呼びかける相手のリストがなければ人が集まらない
  • 市役所全体でプレスリリースを出す体制があり、学校の先生が書くこともある
  • この仕組みを支えるのは「役場本体の強さ」。外部の個人がそのまま真似るのは難しいとも感じた

ヒダスケを体験してみて分かったこと

ヒダスケは、飛騨市の関係人口づくりの仕組みです。
地域のお手伝いに、外から参加できます。

私たちが参加したのは、
神岡町の江馬氏館の跡にある、
空堀の修復体験でした。

江馬氏館跡の空堀で、斜面の修復作業をする参加者

作業の後には、
参加者同士で意見を言い合う時間がありました。
そして運営の方から、
次の2つをいただきました。

  • 飛騨市の地域通貨「さるぼぼコイン」500円分
  • 同じ会場の「神岡オクトーバーフェスト」の食事券500円分

その場で使える食事券と、
地域の中で使える地域通貨。

お手伝いをした後に、
そのまま地域のイベントや店へ
足を運ぶ流れになっていました。
参加した側としても、
自然にその場に残って楽しめました。

地元の行事にも、外の人が関わっている

翌日、飛騨古川の街を
観光協会の方に案内していただいたときにも、
ヒダスケの名前が出てきました。

飛騨古川の中心部の堀には、
千数百匹の鯉がいるそうです。

色づき始めた木々の下、飛騨古川の堀を泳ぐ鯉

冬になると堀に雪を入れるため、
そのままでは鯉が死んでしまう。
そこで冬の前に、
「鯉の引っ越し」という作業をするそうです。

この作業では、地元の中学生が頑張っているほか、
ヒダスケの仕組みを使って外部の人も一緒に
鯉を捕まえ、別の堀へ移しているとのことでした。

もともと地域にある行事や作業に、
外の人が関われる入り口を用意している。
ヒダスケは、そういう使われ方もしている
仕組みなんだと分かりました。

「お手伝いの仕組み」より先に「ファンクラブ」を作る

最終日には飛騨市役所で、
飛騨市ファンクラブなどを担当している
職員の方から説明を受けました。
テーマは、飛騨市ファンクラブとヒダスケです。

飛騨市役所の会議室で行われた講義とディスカッションの様子

その中で一番印象に残ったのが、
次の話です。

ヒダスケのような地域のお手伝いの仕組みは、すごく大事。
でも、それを先に作るのではなく、
先にファンクラブを作って、
そこにお手伝いの仕組みを入れないと失敗する。

説明によると、
飛騨市の仕組みを参考にして、
お手伝いの仕組みを作っている地域は
実際にあるそうです。

ただ、お手伝いの「商品」だけを作っても、
リストがないので、呼び込む先がない。
そういう状態になってしまうということでした。

体験プログラムやお手伝いの募集を作ると、
つい「何をしてもらうか」から考えてしまいます。

でも、先に必要なのは
「誰に届けるか」というリストのほう。

関係人口づくりを考えるうえで、
順番を意識することの大切さを感じた話でした。

市役所全体で「外に見せる」体制がある

もう一つ驚いたのが、
飛騨市のPRの体制です。
説明の中で聞いた内容をまとめると、
こうなります。

  • プレスリリースを、市役所として600回くらい出していると聞いた
  • PR TIMESに載せ、新聞や地元のテレビに取り上げてもらう流れがある
  • 教育委員会や学校もプレスリリースを出し、先生が記事を書くこともある
  • 市役所の中に、プレスリリースを書くための教育がある
  • SNSは、ジャンルごとにターゲットを変えるため40以上のアカウントを運用していると聞いた(インスタかXかは失念しました)

根底にあるのは、
「いい活動をしていても、
外に見てもらわないことには、
何もやっていないのと一緒だ」
という考え方だそうです。

担当部署だけが発信するのではなく、
学校まで含めて「書ける人」を増やしている。

ファンクラブというリストを持つことと、
外に向けて発信し続けること。
この2つがそろっているから、
ヒダスケのような仕組みが回るのだろうと感じました。

祭りを中心にした、強いコミュニティ

飛騨古川の街歩きでは、
古川祭の祭り会館も見せていただきました。

古川祭の祭り会館に展示されている2台の屋台

大きな屋台や、祭りの歴史に触れて、
この地域では祭りにすごく重きが置かれている。
そして、そこを中心に
強いコミュニティが生まれているんだな、
と感じました。

外から人を呼び込む仕組みの背景に、
地域の中のつながりがある。
その土台があってこそ、
外の人が関われる入り口も生きてくるのだと思います。

協力隊の立場から見て、そのまま真似できるか

正直に言うと、
聞いた内容をそのまま自分の活動で実行するのは、
なかなか難しいと感じました。

私は地域おこし協力隊なので、
役場の外にいる個人のような立場での
活動になります。

飛騨市の強みは、
市役所の職員さんが自ら仕組みを動かしている、
本体の強さにあると思いました。
役場本体がすさまじく強いから、
こういう仕組みができている。

プレスリリースの本数も、
学校まで含めた発信体制も、
外部の個人が一人で再現できるものではありません。

それでも、
「お手伝いより先にファンクラブ」という順番の考え方や、
「外に見せなければやっていないのと同じ」という姿勢は、
立場に関係なく参考になる部分だと思います。

どう持ち帰って活かすかは、まだ模索中です。
できる範囲で取り入れていきたいと考えています。

現地で学ぶ価値

今回、DAOマネの皆さんと
4日間を一緒に過ごしました。

普段はオンラインで話すことが多いメンバーです。
でも、実際に会うと雑談がしやすく、
そこからいろいろな気づきが生まれました。

講義やディスカッションでは、
他のメンバーが次々に質問していて、
自分では思いつかなかった視点の話も聞けました。

資料を読むだけでなく、
実際に体験して、担当者から直接話を聞き、
他の地域で活動する人と話す。

現地に行くことで得られる情報の多さを、
改めて感じた4日間でした。

訪問する方へのメモ

最後に、秋に飛騨を訪れる方向けに、
実際に行って気づいたことを書いておきます。

アクセス

新潟県関川村からは、自家用車で向かいました。
新潟県内を横断して、富山経由で入るルートです。
新潟を抜けるだけで、3時間ほどかかりました。

富山からの下道は景色がきれいな一方、
道が狭いところがあり、交通量も多めでした。

飛騨市から高山の中心部まで

車で片道1時間ほどかかりました。

中橋周辺は外国人観光客の方が非常に多く、
道も混雑していたので、運転には注意が必要です。

カメムシ

10月中旬の山あいの宿では、
カメムシが大量に侵入してきました。

宿の管理人さんから、
ペットボトルを逆さにしたような
返しのあるカメムシトラップを借りて、
何十匹も捕獲しました。
苦手な方は、覚悟しておいた方がいいかもしれません。

紅葉

10月10日時点では、
色づき始めといった様子でした。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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